解体工事の「根切り」とは、地中の基礎を撤去するために、その周囲の土を掘って作業空間を確保する工程です。建物を地上部分だけ取り壊しても、布基礎やベタ基礎は地中に残っています。基礎の深さ・形状を確認しながら掘削し、コンクリートを破砕・搬出した後、土を埋め戻して整地します。
「根切りと山留めは同じ?」「基礎撤去費に根切りは含まれる?」「どこまで掘る?」
この記事では、解体工事における根切りの意味、作業の流れ、山留め・埋め戻しとの違い、見積書で確認する項目を解説します。
この記事で分かること
- 解体工事で根切りを行う目的
- 総掘り・布掘り・つぼ掘りの違い
- 山留め、基礎撤去、埋め戻しとの関係
- 追加費用や近隣影響を防ぐ確認項目
解体工事の根切りとは基礎周辺の土を掘る作業
根切りは、基礎や地下構造物を施工・撤去できる高さまで地盤を掘り下げる作業です。新築工事では基礎を造るために行い、解体工事では既存基礎の全体像を確認し、重機や作業員が撤去できる空間をつくるために行います。
| 用語 | 作業内容 | 解体工事での役割 |
|---|---|---|
| 根切り | 地盤を所定の形状・深さまで掘る | 基礎側面や底部を露出させる |
| 基礎撤去 | コンクリートを破砕し、鉄筋と分別して搬出する | 地中の構造物を取り除く |
| 山留め | 掘削面を壁・支保材等で支える | 土砂崩壊や周辺地盤への影響を抑える |
| 埋め戻し | 撤去後の空間に土を戻して締め固める | 地盤を所定の高さに仕上げる |
「根切り」は値引きを意味する「値切り」や、樹木の根を抜く「抜根」とは別の作業です。また、根切りだけでは基礎撤去も埋め戻しも完了しません。見積書では各工程がどこまで含まれるかを確認してください。
解体工事で根切りが必要になる場面
根切りは、地中に埋まった基礎や地下構造物を撤去するときに必要です。特に次のケースでは、掘削範囲や深さが費用・工期へ影響します。
- 布基礎・ベタ基礎を地中から撤去する
- 地下室、ピット、浄化槽、貯水槽を撤去する
- ブロック塀や門柱の基礎を撤去する
- 地中梁、独立基礎、杭頭等を確認する
- 隣地境界に近い基礎を安全に取り除く
図面と実物の深さが違う、増築部分に別の基礎がある、地中から古いコンクリートや配管が見つかると、当初の根切り範囲を超える場合があります。追加工事は発見時の写真、寸法、処理方法、金額を確認してから進める条件にしておくと安心です。
根切りの種類は総掘り・布掘り・つぼ掘り
根切りは掘る範囲によって、総掘り、布掘り、つぼ掘りに分けられます。解体現場では基礎形状、敷地の広さ、重機の作業範囲、隣地との距離に合わせて選びます。
| 種類 | 掘り方 | 向いている場面 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 総掘り | 建物範囲を面で広く掘る | ベタ基礎、地下室など | 掘削土量が増え、排水・山留めの検討範囲も広い |
| 布掘り | 基礎に沿って溝状に掘る | 布基礎、連続した地中梁など | 狭い溝の崩壊や作業空間不足に注意する |
| つぼ掘り | 必要な箇所だけ点状に掘る | 独立基礎、柱脚、部分確認など | 地中のつながりや配管を見落とさない |
工法名だけで安全性や価格は決まりません。国土交通省の公共建築工事標準仕様書では、根切りについて所定の形状・寸法を確保し、周辺状況、土質、地下水等に適した工法とする考え方が示されています。
解体工事の根切りから埋め戻しまでの流れ
根切りは、地下埋設物の確認から埋め戻し・整地までを一連の作業として計画します。

1. 図面・埋設物・境界を確認する
基礎伏図、増改築履歴、上下水道・ガス・電気・通信の引込位置を確認します。図面がない場合は、試掘や現地確認を含めた計画が必要です。隣地境界や残す外構も写真で共有します。
2. 根切りと排水・山留めを行う
基礎の周囲を段階的に掘り、必要に応じて排水と山留めを行います。雨水や地下水を放置すると根切り底が軟らかくなり、周辺土砂が崩れやすくなります。狭い敷地では、重機の旋回や土砂の仮置き場所も事前に決めます。
3. 基礎を破砕・分別して搬出する
露出した基礎を圧砕機等で破砕し、コンクリートと鉄筋を分けて搬出します。隣地に近い部分や残す構造物の周囲は、手作業や小型機械を組み合わせる場合があります。
4. 撤去範囲と地中物を確認する
基礎撤去後、コンクリート片、配管、杭、浄化槽等が残っていないかを確認します。すべての杭を撤去するのか、設計者・発注者の判断で残置するのかは契約前に決め、位置と処理方法を記録します。
5. 埋め戻し・締固め・整地を行う
撤去でできた空間へ適切な材料を層ごとに埋め戻し、締め固めて所定の高さに仕上げます。埋め戻しの詳しい方法や沈下を防ぐ確認点は、解体工事の埋め戻しも確認してください。
根切りと山留めの違いは掘削と崩壊防止
根切りは土を掘る作業、山留めは掘った側面を支える作業です。掘削が深い、土質が崩れやすい、地下水が多い、隣地建物が近い場合は、山留めや段階掘削などの対策が重要になります。
- 掘削面の崩壊や作業員の巻き込まれ
- 隣地地盤の沈下、塀・建物のひび割れ
- 地下水・雨水による根切り底の軟弱化
- 埋設管・ケーブルの損傷
山留めの要否や工法は、深さだけで一律に決めず、地盤、地下水、周辺建物、施工スペースを踏まえて施工者が検討します。発注者は「山留め一式」の金額だけでなく、対象範囲と撤去・残置の扱いを確認してください。
解体工事の根切り費用で確認する7項目
根切り費用は、掘削土量、基礎の大きさ、搬出条件、山留め、排水、埋め戻し材等で変わります。単価の目安だけでなく、次の内訳を複数社で揃えて比較します。
- 根切りの範囲・深さ・土量
- 布基礎、ベタ基礎、地中梁、独立基礎の撤去範囲
- 杭、地下室、浄化槽等を含むか
- 山留め・排水・残土処分の費用
- 埋め戻し材の種類、購入土の有無
- 締固め回数と引渡し時の地盤高さ
- 想定外の地中物を発見した場合の報告・追加承認
特に「基礎撤去一式」では、根切り、残土処分、山留め、埋め戻しが別途になることがあります。見積書に数量・単位・施工範囲を記載してもらいましょう。
解体工事の根切りに関するよくある質問
根切りの範囲、基礎の残置、見積確認について簡潔に回答します。
解体工事では必ず根切りをしますか?
地中の基礎まで撤去する一般的な全解体では行います。ただし、内装解体、上屋のみの撤去、契約上基礎を残置する工事では、根切りを行わない場合があります。土地利用計画と契約範囲で確認してください。
根切りと掘削に違いはありますか?
掘削は土を掘る作業全般を指し、根切りは建築物の基礎や地下構造物を施工・撤去するための掘削を指すのが一般的です。
根切りで見つかった杭はすべて撤去しますか?
必ずしも一律ではありません。杭の種類・深さ、次の建築計画、周辺地盤への影響を踏まえ、発注者・設計者・施工者で撤去または残置を判断します。残置する場合は位置・深さ・処理方法を記録します。
根切りは基礎撤去と埋め戻しまで一体で確認しよう
解体工事の根切りは、地中の基礎を撤去するために土を掘る工程です。安全に進めるには、地下埋設物、土質、地下水、隣地との距離を確認し、必要な山留め・排水を計画します。
見積時は根切りだけでなく、基礎の撤去範囲、残土処分、地中物、埋め戻し材、締固め、整地まで確認してください。撤去後の完成状態を書面と写真で合わせることが、追加費用や地盤沈下の防止につながります。
