解体工事の流れは、大きく「業者選びと契約」「着工前の準備」「解体作業」「完工後の手続き」の4段階に分かれます。建物を壊す作業だけでなく、事前調査や届出、ライフラインの停止、建物滅失登記まで見通しておくことが大切です。
「解体工事の流れが分からず、何から始めればよいか不安」「手続きや近隣対応で失敗したくない」
このような疑問を解消できるよう、この記事では解体工事の手順を準備から完了まで時系列で解説します。施主が行うことと業者へ確認することを分けて把握し、余裕のある工程を組みましょう。
この記事で分かること
- 解体工事を始める前に準備すること
- 着工から整地までの作業手順
- 解体工事で必要になる届出と完工後の手続き
- 追加費用や近隣トラブルを防ぐ確認事項
解体工事の流れは4段階
解体工事の流れは、次の4段階で整理すると全体像をつかみやすくなります。業者だけに任せるのではなく、施主が判断する項目と必要書類を各段階で確認してください。

| 段階 | 主な内容 | 施主が確認すること |
|---|---|---|
| ①業者選びと契約 | 現地調査、見積もり、契約 | 工事範囲、費用、工期、追加費用の条件 |
| ②着工前の準備 | 事前調査、届出、家財整理、近隣挨拶 | 届出の担当者、停止するライフライン、残す物 |
| ③解体作業 | 養生、内装撤去、建物解体、基礎撤去、整地 | 進捗、追加工事、残す外構、仕上がり |
| ④完工後の手続き | 現地確認、精算、建物滅失登記 | 完了書類、請求内容、登記期限 |
届出や家財整理が遅れると、予定日に着工できない場合があります。土地の売却や建て替えなど、解体後の予定から逆算して準備を始めましょう。
解体工事の流れ①業者選びから契約まで
解体工事の流れで最初に行うのは、建物と敷地の条件を整理し、現地調査を受けて契約内容を決めることです。見積金額だけで選ばず、工事範囲と追加費用の条件まで比較します。
業者選びから契約までの手順は次のとおりです。
- 建物と敷地の情報を整理する
- 複数の業者へ現地調査と見積もりを依頼する
- 見積書と契約書の内容を確認する
建物と敷地の情報を整理する
解体工事の業者へ連絡する前に、建物の構造、階数、延べ床面積、築年、所在地を分かる範囲で整理します。建築図面や登記事項証明書があれば、現地調査の資料として用意してください。
敷地については、前面道路の幅、重機やトラックが入れる経路、隣家との距離、電線の位置を確認します。ブロック塀、庭木、物置、井戸など、建物以外に撤去する物と残す物も書き出しておくと、見積もりの条件をそろえられます。
複数の業者へ現地調査と見積もりを依頼する
解体工事の見積もりは、同じ条件を伝えたうえで複数の業者へ依頼します。現地調査では建物だけでなく、搬出経路、隣地との境界、外構、地中に残っている可能性がある物も確認してもらいましょう。
各社の見積書は、建物本体、付帯物、廃棄物の運搬・処分、養生、整地、諸経費などの内訳を比べます。極端に安い見積もりは、必要な作業が含まれていない可能性もあるため、金額差の理由を質問してください。
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見積書と契約書の内容を確認する
解体工事の契約では、見積金額のほかに工事範囲、着工日、完工予定日、支払時期、追加費用が発生する条件を書面で確認します。口頭で決めた内容も、契約書や確認書へ反映してもらいましょう。
| 確認項目 | 確認する内容 |
|---|---|
| 工事範囲 | 建物、基礎、外構、庭木、物置、地中埋設物 |
| 費用 | 項目別の金額、消費税、追加費用の単価や条件 |
| 工期 | 着工日、完工予定日、遅延時の連絡方法 |
| 手続き | 届出の担当、完工後に受け取る書類 |
| 事故への備え | 損害賠償保険の加入状況、事故発生時の窓口 |
解体工事業の登録または必要な建設業許可の有無、廃棄物の処理方法も確認します。契約内容に疑問が残る場合は、その場で署名せず、回答を書面で受け取ってから判断してください。
解体工事の流れ②着工前の準備
解体工事の流れでは、着工前にアスベストの事前調査、必要な届出、ライフラインの手続き、家財整理、近隣挨拶を行います。施主と業者の担当範囲を決め、完了した項目を一覧で管理すると漏れを防げます。
着工前に必要な準備は次のとおりです。
- アスベストの事前調査を実施する
- 建設リサイクル法などの届出を確認する
- 電気・ガス・通信設備などを停止する
- 家財と残す物を整理する
- 近隣へ工事内容を案内する

アスベストの事前調査を実施する
解体工事の着工前には、建物の規模にかかわらずアスベストの事前調査が必要です。調査は設計図書などの書面確認と現地での目視を基本とし、建築物では原則として必要な知識を持つ有資格者が行います。
調査結果は工事現場への掲示や保存が必要です。アスベストが見つかった場合は、飛散防止措置や除去費用、工期への影響について、業者から説明を受けてください。
建設リサイクル法などの届出を確認する
解体工事の対象となる建物の床面積が80㎡以上の場合、建設リサイクル法に基づく届出が必要です。発注者である施主は、原則として工事開始日の7日前までに都道府県知事などへ届け出ます。
業者が書類作成や提出を補助する場合でも、誰がいつ提出するかを確認し、控えを受け取りましょう。アスベストの事前調査結果についても、床面積80㎡以上の解体工事などは行政への報告対象です。
電気・ガス・通信設備などを停止する
解体工事の着工日が決まったら、電気、ガス、固定電話、インターネット、ケーブルテレビなどの停止・撤去を各事業者へ申し込みます。メーターや引込線の撤去には日数がかかる場合があるため、早めの連絡が必要です。
水道は、散水や清掃に使うため工事中も残すことがあります。施主の判断だけで停止せず、使用方法と料金の精算時期を解体業者へ確認してください。浄化槽、井戸、灯油タンクがある場合も事前に伝えます。
家財と残す物を整理する
解体工事の前に、家具、家電、衣類、書類などの家財を搬出します。家財を残したまま業者へ処分を依頼できる場合もありますが、建物の解体廃棄物とは処理方法が異なり、別料金になることがあります。
通帳、印鑑、権利証、写真、仏壇などを誤って処分しないよう、部屋ごとに「残す」「譲る」「売る」「処分する」へ分けます。エアコン、給湯器、照明など、建物と一緒に撤去する設備も業者と共有しましょう。
近隣へ工事内容を案内する
解体工事の着工前に、近隣へ工事期間、作業時間、休日、施工業者の連絡先を案内します。解体中は騒音、振動、粉じん、工事車両の出入りが生じるため、事前に知らせることで問い合わせ先を明確にできます。
挨拶を業者へ任せる場合も、施主が同行するか、案内した範囲と内容を確認してください。隣地を一時的に使用する可能性があるときは、口頭の了承だけで進めず、使用範囲や期間を書面に残します。
解体工事の流れ③着工から完工まで
解体工事の流れは、養生、内装材の撤去、建物本体の解体、基礎・外構の撤去、廃棄物の搬出、整地の順で進むのが基本です。建物の構造や敷地条件により、作業の順番は変わります。
着工後の主な手順は次のとおりです。
- 足場と養生を設置する
- 内装材と設備を分別して撤去する
- 屋根と建物本体を解体する
- 基礎・外構・地中の物を確認する
- 廃棄物を分別して搬出する
- 地面を整えて施主が確認する

足場と養生を設置する
解体工事の着工後は、必要な範囲へ足場と養生シートを設置します。養生には、粉じんや破片の飛散を抑え、周辺への影響を減らす役割があります。
敷地が狭い場合や隣家との距離が近い場合は、養生方法や重機の配置が工期と費用に影響します。着工前の現地調査で、設置範囲と工事車両の動線を確認しておきましょう。
内装材と設備を分別して撤去する
解体工事では、重機で建物を壊す前に、建具、畳、石こうボード、断熱材、設備などを手作業で取り外します。廃棄物を種類ごとに分け、再資源化や適正処理につなげるためです。
アスベスト含有建材がある場合は、事前調査の結果と作業計画に沿って処理します。施主は、調査で示された建材の位置と除去方法を説明してもらい、必要な追加費用を着工前に確認してください。
屋根と建物本体を解体する
解体工事の本体作業では、屋根材や上階から順に撤去し、建物の構造部分を解体します。重機を使用する場合も、隣家や道路に近い部分は手作業を組み合わせることがあります。
作業中に予定外の建材や損傷が見つかったときは、業者から状況、対応方法、費用、工程への影響を説明してもらいます。施主の了承前に追加工事を進めないことを契約時に決めておくと、精算時の行き違いを減らせます。
基礎・外構・地中の物を確認する
解体工事で建物本体を撤去した後は、契約範囲に沿って基礎、土間コンクリート、ブロック塀、庭木などを撤去します。残す塀や配管がある場合は、現場で目印を付け、作業員へ共有してください。
地中から古い基礎、浄化槽、井戸、廃材などが見つかると、追加の撤去が必要になる場合があります。写真と数量、見積金額を確認し、土地の利用予定も踏まえて対応を決めましょう。
廃棄物を分別して搬出する
解体工事で出たコンクリート、木材、金属などは、種類ごとに分別して搬出します。解体と運搬・処分が見積もりの範囲に含まれているか、契約前に確認しておくことが重要です。
建設リサイクル法の対象工事では、元請業者から発注者へ再資源化などの完了報告が行われます。報告書は工事関係の資料と合わせて保管してください。
出典:mlit.go.jp
地面を整えて施主が確認する
解体工事の最終工程では、廃材を取り除き、契約で定めた状態に地面を整えます。整地の仕上げは、売却、駐車場利用、新築など、解体後の用途によって異なります。
引き渡し前に施主が現地を確認し、残す予定の塀や樹木、隣地との境界、地面の大きな凹凸、廃材の残りがないかを見ます。遠方で立ち会えない場合は、複数方向から撮影した完工写真を依頼しましょう。
解体工事の流れ④完工後の手続き
解体工事の流れは、建物がなくなった時点で終わりではありません。完了書類と請求内容を確認し、期限内に建物滅失登記を申請します。
完工後に行うことは次のとおりです。
- 現地と完了書類を確認する
- 契約内容と請求金額を照合する
- 建物滅失登記を申請する
現地と完了書類を確認する
解体工事の完工時は、現地の仕上がりに加えて、業者から受け取る書類を確認します。建物取毀証明書や業者の印鑑証明書など、建物滅失登記に必要な書類は早めに受け取ってください。
アスベストの調査結果、届出の控え、再資源化の報告書、工事写真もまとめて保管します。土地を売却する場合は、買主や仲介会社から工事資料の提示を求められることがあります。
契約内容と請求金額を照合する
解体工事の最終支払い前に、契約書、当初の見積書、追加工事の確認書、請求書を照合します。追加費用がある場合は、発生した理由、作業内容、数量、単価を確認してください。
現地の仕上がりや請求内容に疑問があるときは、写真と書面を使って業者へ確認します。合意した内容が反映されたことを確かめてから、契約で定めた方法に沿って支払いましょう。
建物滅失登記を1か月以内に申請する
解体工事で登記された建物がなくなった場合、建物の所有者は滅失の日から1か月以内に建物滅失登記を申請します。申請先は建物の所在地を管轄する法務局です。
自分で申請することも、土地家屋調査士へ依頼することもできます。土地の売却や新築を予定している場合は、後の手続きに影響しないよう、完工後すぐに必要書類をそろえましょう。
出典:laws.e-gov.go.jp、houmukyoku.moj.go.jp
解体工事をスムーズに進める3つのポイント
解体工事をスムーズに進めるには、余裕のある日程、追加費用の事前確認、記録を残す連絡方法の3つが重要です。天候や現場の状況で工程が変わる可能性も考えて準備します。
特に意識したいポイントは次のとおりです。
- 解体後の予定から逆算し、日程に余裕を持たせる
- 追加費用が生じる条件を契約前に書面化する
- 現場責任者と連絡方法を決め、変更内容を記録する
解体後の予定から逆算して日程を組む
解体工事の日程は、土地の引き渡し日や新築の着工日から逆算し、予備日を設けて組みます。アスベストの調査・除去、届出、悪天候、地中埋設物への対応により、予定が変わる場合があるためです。
希望日だけを業者へ伝えるのではなく、完工が遅れた場合に影響する予定も共有します。契約前に工程表を受け取り、施主が行う家財整理やライフラインの手続きにも期限を設定しましょう。
追加費用が生じる条件を書面化する
解体工事の追加費用を巡る行き違いを防ぐには、発生条件と確認手順を契約前に決めます。代表的な確認対象は、アスベスト、地中埋設物、残置物、図面と異なる基礎、追加する外構撤去です。
予定外の作業が必要になった場合は、着手前に写真と見積書を受け取り、施主が承認する流れを契約書へ入れてもらいます。追加費用を一律に避けることはできませんが、判断材料があれば納得して対応できます。
現場責任者と連絡方法を決める
解体工事の契約時に、現場責任者の氏名と連絡先、進捗報告の頻度を確認します。営業担当者と現場の責任者が異なる場合は、変更や追加工事を誰へ連絡するかも決めてください。
電話で話した内容は、メールやメッセージで要点を送り、双方が確認できる形に残します。施主が現地へ頻繁に行けない場合は、工程ごとの写真を共有してもらうと状況を把握しやすくなります。
解体工事の流れに関するよくある質問
解体工事の流れについて、工期、家財整理、地中埋設物に関する疑問へ回答します。物件ごとに条件が異なるため、契約前の現地調査で自分のケースを確認してください。
解体工事の流れは何日かかりますか?
解体工事にかかる日数は、建物の構造・規模、道路や隣地の状況、手作業の量、アスベストの有無、天候によって変わります。建物を壊す期間だけで判断せず、現地調査、届出、家財整理、完工後の手続きまで含めた工程表を業者へ作成してもらいましょう。
解体工事の流れで家の中はどこまで片付けますか?
解体工事の着工前には、原則として家具、家電、衣類、食品、重要書類などの家財を搬出します。業者へ処分を依頼できる物もありますが、追加費用や受け取れない品目があるため、見積もりの前に室内を見てもらい、施主が処分する物と業者が撤去する物を分けてください。
解体工事の流れで地中埋設物が見つかったらどうなりますか?
解体工事中に地中埋設物が見つかった場合は、作業を止め、種類や範囲を確認して対応を決めます。古い基礎、浄化槽、井戸、廃材などは地上から確認できず、追加費用になることがあります。写真、数量、撤去方法、見積金額の説明を受け、承認してから作業を進めてもらいましょう。
解体工事の流れを把握し、早めに準備を始めよう
解体工事の流れは、業者選びと契約、着工前の準備、解体作業、完工後の手続きの4段階です。工事範囲と追加費用の条件を契約書で確認し、アスベスト調査や届出、ライフライン、家財整理を期限から逆算して進めましょう。
完工時は現地と書類を確認し、建物がなくなった日から1か月以内に建物滅失登記を申請します。複数社の見積もりを同じ条件で比較すると、費用だけでなく説明内容や対応方法の違いも確認できます。
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