解体工事の現場で現金を発見したら、持ち帰らず、その場の作業を止めて状況を記録します。現場責任者と発注者に報告し、誰の財産か分からない場合は警察へ相談するのが基本です。
現金の所有権は、見つけた人や解体業者にただちに移るわけではありません。建物の所有者、前所有者、相続人などが関係することがあり、発見状況によって遺失物としての扱いも異なります。本記事では、直後の対応、所有権の考え方、トラブルを防ぐ記録方法を解説します。

解体工事で現金を発見した直後の5ステップ
最優先は、現金と発見現場の状態を変えず、事実関係を確認できるようにすることです。作業員個人で判断せず、次の順で対応します。
- 周辺の作業を止める:重機で破損したり、瓦礫と混ざったりするのを防ぎます。
- 発見状況を記録する:場所、日時、容器、周辺の状態を写真と作業日報に残します。
- 現場責任者へ報告する:現金に触れる人を限定し、紛失を防ぎます。
- 発注者・建物所有者に連絡する:心当たりの有無を確認しますが、現場だけで所有者を断定しません。
- 警察に相談する:所有者が不明、説明が食い違う、多額、事件性が疑われる場合は、最寄りの警察署・交番へ連絡します。
銃弾、注射器、異臭のある容器など、危険物や事件との関係が疑われるものを同時に見つけた場合は触れないでください。人の出入りを止め、110番または警察署の指示に従います。
発見した現金は誰のものになるのか
結論として、現金を見つけただけで拾得者や解体業者の所有物にはなりません。「どこに、どのような状態であったか」と「持ち主を確認できるか」で扱いが変わります。
現所有者や相続人の現金と確認できる場合
発注者が保管場所・容器・金額を具体的に説明できる場合や、遺品整理の記録から相続財産だと確認できる場合は、関係者と返還方法を協議します。受渡時は金額と容器を複数人で確認し、受領書を残すと後日の行き違いを防げます。
前所有者や第三者のものかもしれない場合
中古取得した建物の壁や床下から出てきた現金は、前所有者やその家族のものである可能性があります。一方の申し出だけで返還せず、売買契約、相続の経緯、発見状況を整理して警察へ相談します。当事者間で争いがあるときは、弁護士など専門家の判断を仰いでください。
所有者が不明で遺失物として扱う場合
警察庁は、落とし物を拾った人に対し、速やかに落とし主へ返すか警察へ届けるよう案内しています。一般の場所では拾った日から7日以内、管理者のいる施設では24時間以内に届けないと、拾得者の権利を失うとしています。
解体現場がどの区分に当たるかは状況によるため、「7日は保管してよい」と考えず、発見後すぐ現場責任者と警察に確認するのが安全です。
現金の金額・場所・受渡しをどう記録するか
記録は、「発見した事実」と「誰から誰へ渡したか」を後から検証できる内容にします。現金を並べ替えたり、汚れを落としたりする前の状態を残してください。
- 発見日時と発見者
- 建物内の場所と深さ・位置
- 現金が入っていた容器の状態
- 発見直後の写真・動画
- 金額を確認した人と方法
- 発注者、所有者、警察への連絡時刻
- 保管場所と受渡時の署名
- 警察から交付された預り書などの番号
写真をSNSやグループチャットへ無制限に共有すると、第三者が所有者を装ったり、現場が窃盗の対象になったりするおそれがあります。情報は、発注者、現場責任者、警察など必要な関係者に限定します。
解体業者と発注者の役割
解体業者は発見時の保全と報告を担い、発注者は所有関係の確認や必要な連絡に協力します。どちらかが独断で現金を処分するのは避けましょう。
| 関係者 | 主な対応 |
|---|---|
| 発見者 | 作業を止め、動かさずに現場責任者へ報告 |
| 解体業者 | 現場保全、写真・日報の記録、発注者・警察への連絡 |
| 発注者 | 所有の心当たり、売買・相続経緯の確認、警察対応への協力 |
| 警察 | 拾得物としての受理や状況に応じた指示 |
発見物の扱いを解体工事契約に書く場合でも、「所有権はすべて業者に帰属する」などと一括せず、貴重品、現金、文書、埋設物を分けて報告・保管方法を定めると安心です。解体工事の契約書で確認するポイントもあわせてご覧ください。
現金発見トラブルを防ぐ着工前の準備
着工前に建物内の残置物を確認し、発見物の連絡ルールを決めれば、工事中の混乱を減らせます。
- 金庫、仏壇、タンス、床下収納を確認する
- 通帳、権利証、遺言書、写真などを先に搬出する
- 相続人や前所有者に保管物を確認する
- 発見時の連絡先と立会者を決める
- 貴重品は「残置物処分」の対象外と明記する
床下や基礎周辺で見つかるものは現金だけではありません。地中埋設物を見つけた場合の対応は、解体工事の地中埋設物とはを参考にしてください。
解体工事の現金発見に関するよくある質問
ここでは、見つけた人の権利、発注者への返還、工期への影響に関する疑問に答えます。
解体工事で発見した現金は拾った人がもらえますか?
すぐに拾得者のものにはなりません。所有者の確認と警察への届出が必要になることがあります。警察から交付された書類と指示に従ってください。
解体工事の発注者が「自分のお金」と言えば返してよいですか?
場所、容器、金額などの具体的な説明を確認し、受渡しの記録を残します。前所有者や他の相続人から申し出が出る可能性がある場合は、直接返還せず警察や弁護士に相談するほうが安全です。
現金発見で解体工事は止まりますか?
発見箇所の記録と引渡しが終わるまでは、少なくともその周辺の作業を止めます。現場全体を止めるかは、発見の範囲、事件性、警察の指示によります。
まとめ
解体工事で現金を発見したら、持ち出さずに作業を止め、発見状況を記録します。現場責任者・発注者へ報告し、所有者がはっきりしない場合は警察へ相談してください。「見つけた人のもの」と独断せず、写真、日報、受領書で経緯を残すことがトラブル防止につながります。
