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80㎡未満の解体工事でもアスベスト調査は必要?報告義務との違いを解説

80㎡未満の解体工事でも、アスベスト(石綿)の事前調査は原則として必要です。80㎡という数字は、建築物の解体工事で調査結果を行政へ報告する基準であり、調査そのものを行うかどうかの基準ではありません。

「79㎡なら調査も不要?」「80㎡未満ならアスベストが見つかっても届出はいらない?」「小さな物置も対象?」

この記事では、80㎡未満の建築物を解体するときに必要な調査、発注者への説明、記録・掲示と、原則として対象外になる法に基づく行政への事前調査結果報告を分けて解説します。79㎡と80㎡の境界、複数棟・分割契約、改修工事や工作物を含む場合も確認できます。

この記事で分かること

  • 80㎡未満でも必要なアスベスト対応
  • 80㎡未満と80㎡以上で変わる手続き
  • 床面積の判定と契約分割の注意点
  • 小規模解体の見積書・調査結果で確認する項目
目次

80㎡未満の解体工事でもアスベスト事前調査は原則必要

結論からいうと、建築物の解体部分が80㎡未満でも、元請業者または自主施工者は着工前に石綿含有建材の有無を調べます。80㎡未満で省略できる可能性があるのは、法に基づく行政への「事前調査結果の報告」です。請負工事では元請業者から発注者への書面説明が必要であり、元請業者・自主施工者による調査、記録、現場への備え付け・掲示も省略できません。

80㎡未満の建築物解体で行うこと原則的な扱い発注者が確認するもの
石綿の事前調査必要調査範囲・判定根拠・調査者
資格者による建築物調査法令上の例外を除き必要資格名・氏名
発注者への調査結果の説明請負工事では必要元請業者から受け取る書面
結果の記録・現場への備え付け・掲示必要掲示内容・保存方法
法に基づく行政への事前調査結果報告解体部分だけで80㎡未満なら原則対象外対象外と判断した根拠
石綿含有時の飛散・ばく露防止措置面積にかかわらず必要作業計画・除去方法・必要な届出
80平方メートル未満の解体工事で必要なアスベスト事前調査と結果報告の違い

厚生労働省は、工事の規模・種類にかかわらず、原則として改修等の対象箇所にある全ての材料を事前調査すると案内しています。同時に、建築物の解体では対象部分の床面積合計が80㎡以上の場合に、労働基準監督署と都道府県等へ調査結果を報告する仕組みを示しています。

出典:厚生労働省 石綿総合情報ポータルサイト「小規模工事等の着工前に必要な手続きについて」

80㎡はアスベスト調査ではなく行政への結果報告の基準

80㎡基準を正しく判断するには、調査と行政報告を分け、面積の対象と工事の種類を確認します。要点は次の3つです。

  • 80㎡ちょうどは「80㎡以上」に含まれる
  • 建築物全体ではなく、解体作業の対象となる床面積の合計で判定する
  • 建築物の解体は請負金額ではなく床面積で判定する

79㎡台は基準未満、80㎡ちょうどは結果報告の対象になる

解体作業の対象となる床面積合計が79.9㎡なら80㎡未満ですが、80.0㎡なら「80㎡以上」に該当します。80㎡ちょうどの工事は、石綿の有無にかかわらず、事前調査結果の行政報告が必要です。

「約80㎡」という見積書の表記だけでは判断できません。登記事項証明書、固定資産関係資料、確認済証、図面、現地調査などを照合し、元請業者に解体対象部分の床面積と算定根拠を記載してもらいましょう。

床面積は解体作業の対象部分を合計する

報告基準に用いるのは、敷地面積や建築面積ではなく、解体作業の対象となる建築物の床面積の合計です。複数階を解体する場合は各階の対象部分を確認し、複数棟を一つの工事として解体する場合も対象範囲の合計を確認します。

また、石綿障害予防規則の解説では、建築物の壁・柱・床を同時に撤去する工事を「建築物の解体工事」としています。内装だけを撤去するなど、建物本体を残す工事は「改修工事」として別の報告基準で判定される場合があるため、工事名だけで決めないことが重要です。

80㎡未満の建築物解体は請負金額が高くても面積で判定する

建築物の解体工事だけを行う場合、法に基づく行政への事前調査結果報告は床面積を基準にします。そのため、解体対象が80㎡未満で費用が100万円以上になっても、その事実だけで建築物解体の報告基準を満たすわけではありません。

ただし、同じ契約に建築物の改造・補修や報告対象の工作物工事も含む場合は、工事全体の請負代金100万円以上という基準も確認します。改修部分や工作物部分の価格だけを切り出して判定しないでください。

出典:環境省「石綿事前調査結果の報告について」、厚生労働省「石綿障害予防規則の解説」、e-Gov法令検索「石綿障害予防規則」、e-Gov法令検索「大気汚染防止法」

80㎡未満でも調査・説明・記録・掲示は必要

法に基づく行政への結果報告が対象外でも、元請業者・自主施工者には事前調査、結果の記録、現場への備え付け・掲示が必要です。建築物の事前調査は、法令上の例外を除き資格者が行います。請負工事では、元請業者から発注者への書面説明も必要です。

2023年10月1日以降に着工する建築物の解体・改修工事では、法令上の例外に該当する場合を除き、建築物石綿含有建材調査者など一定の要件を満たす者が事前調査を行います。床面積が小さいことを理由に、資格のない担当者が目視だけで「石綿なし」と判断することはできません。

書面と目視で含有の有無を確認できない建材は、分析するか、石綿を含むものとみなして法定対策を講じます。一戸建て等石綿含有建材調査者には調査範囲の制限もあるため、建物と対象範囲に合う資格かを確認してください。調査方法の詳細は、解体工事のアスベスト事前調査とは?対象・方法・報告義務で解説しています。

行政への結果報告が不要でも、元請業者は事前調査結果を発注者へ書面で説明します。調査した日、場所、材料、判定、判断根拠、調査者の氏名・資格、石綿がある場合の作業方法などを確認してください。

「行政へ送信しないから調査報告書も作らない」という説明は、二つの報告を混同しています。行政への電子報告と、発注者が受け取る調査結果の書面は別です。80㎡未満でも、発注者は調査範囲と判定根拠が分かる書面を受け取りましょう。

事前調査結果の記録は3年間保存します。石綿障害予防規則では全ての事前調査・分析調査を終えた日のうち最も遅い日から、大気汚染防止法では解体等工事を終えた日から起算するため、両方の保存期間を満たすよう管理します。工事中は記録を作業場所へ備え付け、結果の概要を作業者や周辺から見やすい場所へ掲示します。石綿が見つからなかった場合や、行政報告の基準未満でも掲示は必要です。

発注者は、工事前に掲示様式を確認し、工事開始後は現場に掲示されているかを確認できます。掲示の有無だけでなく、調査終了日、調査方法、調査した範囲、石綿の有無が工事内容と一致しているかも見てください。

出典:厚生労働省 石綿総合情報ポータルサイト「解体業者」、環境省・厚生労働省「建築物等の解体等に係る石綿ばく露防止及び石綿飛散漏えい防止対策徹底マニュアル(令和8年2月改正)」

80㎡未満でも他の報告基準・届出を確認する

建築物の解体部分が80㎡未満というだけでは、アスベスト関係の手続きを全て「不要」と判断できません。改修工事、対象工作物、契約の分け方、石綿含有建材、自治体の条例を別々に確認します。

  • 解体とは別に改造・補修工事を含む
  • 報告対象の工作物工事を含む
  • 同一事業者が工事を複数契約へ分けている
  • 石綿含有建材の除去や自治体独自の手続きがある

改修工事や対象工作物を含む場合は工事全体の金額を確認する

建築物の改造・補修工事と、報告対象として定められた工作物の解体・改造・補修工事は、工事全体の請負代金が100万円以上の場合に結果報告の対象です。請負代金には材料費と消費税を含み、事前調査費は含めません。

例えば、80㎡未満の建築物解体と改修を一括で請け負う場合は、解体部分が80㎡以上か、工事全体の請負代金が100万円以上かを確認します。建築物と報告対象の工作物が混在する一括工事も、建築物の解体部分が80㎡以上、または両方を含む工事全体が100万円以上のいずれかに該当すれば報告が必要です。改修部分・工作物部分だけの金額で判定しないでください。

同じ工事を分割契約しても一つの契約とみなされる

同一の事業者が、報告基準に該当する工事を二つ以上の契約へ分割して請け負う場合は、一つの契約として扱われます。報告を避ける目的で解体範囲や契約書を分けても、基準未満にはできません。

複数棟、母屋と付属建物、時期を分けた解体などでは、どこまでが同じ工事かを元請業者へ確認し、判定根拠を残します。面積が80㎡前後なら、口頭の概算ではなく対象床面積の一覧を作成してもらうと確認しやすくなります。

石綿が見つかれば面積に関係なく作業基準を守る

事前調査で石綿含有建材が見つかった場合は、80㎡未満でも建材と作業方法に応じた作業計画、飛散・ばく露防止、保護具、立入管理、適正な廃棄物処理などが必要です。吹付け石綿や石綿含有保温材等の除去など、法令上の届出対象作業に該当すれば、建物の広さとは別に届出を行います。

調査結果の行政報告と、石綿除去作業に関する届出は別制度です。作業届・計画届の対象、提出者、期限は、解体工事のアスベストとは?調査・除去費用と届出を解説で確認できます。

自治体の条例で独自手続きがないか確認する

法に基づく行政への事前調査結果報告が対象外でも、自治体の条例や要綱により、石綿含有成形板等の除去、標識、近隣周知、完了報告など独自の手続きが必要になる場合があります。工事場所を管轄する都道府県・政令市などの環境担当窓口へ、着工前に確認してください。

出典:環境省「解体等工事における石綿飛散防止に関する報告・届出・お問い合わせ先」

事前調査の対象外になるかは面積ではなく作業内容で判断する

事前調査を行う必要がない作業はありますが、80㎡未満という面積を理由に対象外になるわけではありません。石綿粉じんが発散しないことが明らかな、法令で示された作業に該当するかで判断します。

  • 石綿が含まれていないことが明らかな木材・金属・石・ガラスなどだけを、周囲の材料を傷つけず取り外す作業
  • 釘を打つ・抜くなど、石綿が飛散する可能性がほとんどない極めて軽微な損傷だけを与える作業
  • 下地調整、研磨、剥離などを伴わず、既存材料を除去・損傷せずに新しい材料を追加するだけの作業

一方、電動工具で石綿が使われている可能性のある壁へ穴を開ける作業は、極めて軽微な作業には含まれないと厚生労働省が示しています。建築物を取り壊す解体工事を、面積が小さいという理由だけで「明らかに粉じんが出ない作業」として扱うことはできません。対象外に該当するかは、実際に扱う材料と作業方法を基に確認してください。

出典:厚生労働省「石綿障害予防規則の解説」

80㎡未満の解体見積もりで発注者が確認する7項目

発注者は、「80㎡未満なので法に基づく行政への結果報告は対象外」という説明だけで契約せず、調査と施工の内訳を確認します。特に、調査不要という誤った説明と、電子報告費だけを外して調査まで省く見積もりを見分けることが重要です。

確認項目確認する内容注意したい説明
床面積解体対象部分の合計と算定資料「だいたい80㎡未満」だけ
工事区分建築物解体、改修、工作物の内訳全てを「解体一式」で処理
調査者氏名、資格名、資格の対象範囲資格者を示さない
調査範囲屋根・外壁・内装・設備など解体する材料外観確認だけで完了
不明建材分析か石綿含有みなしか不明のまま通常解体
報告・届出法に基づく行政への結果報告、除去作業届、自治体手続きの要否「80㎡未満なので全部不要」
書類発注者説明書面、現場掲示、作業・完了記録口頭説明だけ

面積の判定が基準付近にある場合は、「80㎡未満」という結論だけでなく、対象棟・階・部分ごとの床面積を契約書や見積書へ添付してもらいましょう。石綿が見つかった場合の追加調査、除去、処分、工期変更の承認手順も契約前に決めておくと、着工後のトラブルを減らせます。

80㎡未満の解体工事とアスベストに関するよくある質問

80㎡未満の建築物解体について、調査費、行政報告、複数棟、自主施工で迷いやすい点へ回答します。

80㎡未満の解体工事ならアスベスト調査費を省けますか?

省けません。解体対象部分の事前調査は原則必要です。80㎡未満で法に基づく行政への結果報告が対象外なら、その電子報告に関する実務は不要になる場合がありますが、資格者調査、必要に応じた分析、書面作成、記録・掲示までなくなるわけではありません。

床面積79㎡の解体工事は行政への結果報告が不要ですか?

建築物の解体部分が合計79㎡であることが確認でき、建築物解体だけの工事なら、80㎡以上という結果報告基準には達しません。ただし、同じ案件に建築物の改修や報告対象の工作物工事が含まれ、工事全体が100万円以上の場合、分割契約を一契約とみなす場合、自治体独自の手続きがある場合は別に確認が必要です。

80㎡ちょうどの解体工事はアスベスト調査結果を報告しますか?

報告します。「80㎡以上」には80㎡ちょうどを含みます。石綿が見つからなかった場合も、基準を満たす建築物解体では調査結果を着工前に報告してください。

80㎡未満でアスベストなしでも現場掲示は必要ですか?

必要です。行政への結果報告の対象外でも、事前調査結果の記録を作成・保存し、工事中は現場へ備え付け、概要を掲示します。「石綿なし」という調査結果も掲示の対象です。

小さな物置や車庫だけの解体もアスベスト調査が必要ですか?

建築物に当たる物置・車庫の通常の解体であれば、床面積が小さくても事前調査は原則必要です。屋根材、外壁材、軒天など、解体する部分の材料を確認します。木材や金属などだけを周囲の材料を傷つけず取り外す法令上の対象外作業に当たるかは、面積ではなく具体的な作業内容で判断します。

40㎡の建物を2棟解体する場合は80㎡未満ですか?

2棟が同じ契約の解体工事の対象なら、対象床面積の合計が80㎡になるため、結果報告の対象です。同一事業者へ二つ以上の契約に分けて発注した場合も、一つの契約とみなして判定します。発注先や工事自体が別の場合は、対象棟ごとの面積、発注関係、施工者、工事の一体性を所管行政へ確認してください。

80㎡未満の建物を自分で解体する場合も調査が必要ですか?

大気汚染防止法では、自主施工者も解体等工事の事前調査を行う立場です。自分で施工することや床面積が小さいことだけでは、調査を省略できません。通常の建築物解体では、自ら法令上の調査者要件を満たさない限り、資格者へ調査を依頼します。石綿含有の可能性がある建材を自分で切断・破砕せず、資格者と自治体の環境担当窓口へ工事前に相談してください。

まとめ

80㎡未満の解体工事でも、アスベストの事前調査は原則必要です。80㎡は、建築物の解体で事前調査結果を労働基準監督署と都道府県等へ報告する基準です。80㎡未満で法に基づく行政への結果報告が対象外になっても、資格者調査、記録・保存、現場への備え付け・掲示は省略できません。請負工事では、元請業者から発注者への書面説明も必要です。

面積は解体対象部分の床面積合計で判断し、80㎡ちょうどは報告対象です。改修工事、対象工作物、分割契約、石綿除去作業の届出、自治体条例も分けて確認しましょう。見積もりでは床面積の根拠、調査者の資格、調査範囲、不明建材の扱い、必要な報告・届出を文書で確認してください。対応できる解体業者を比較したい場合は、最大5社の一括見積もりを利用できます。

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