空き家を解体するか迷うのは、解体費用が高いからだけではありません。家財整理、親族の同意、相続・名義、建物付きで売れる可能性、遠方からの対応など、複数の課題が重なっていることがあります。
カイテックが空き家に関わっている101人に行った調査では、解体を迷っている人が23.8%、解体する方針を決めて具体的に動いている人が13.9%でした。解体を迷っている人の有効回答23人では、費用面の理由は「解体費用の総額が高く、自己資金や支払い方法に不安がある」60.9%、費用以外では「家の中の荷物・家財・遺品の整理が終わっていない」65.2%が最多でした。
この記事では、空き家解体を迷う理由を費用面と費用以外に分け、売却・管理・解体の判断材料を整理します。
空き家の解体を迷う主な理由
空き家の解体を迷う理由は、費用、売却、家財、権利関係、気持ち、距離の6つに分けて考えると整理しやすくなります。どれか一つだけを解決しても着工できないことがあるため、現在止まっている項目を具体的に確認します。
解体費用を用意できず、見積金額が適正か判断できない
解体費用は建物の構造や広さだけでなく、前面道路、重機の搬入、残置物、外構、アスベストの有無で変わります。相場だけを見ても自宅の金額は確定できないため、同じ撤去範囲で2〜3社へ現地見積もりを依頼し、内訳と総額を確認する必要があります。
更地にした後の税負担や土地の売却が不安
住宅を解体すると住宅用地の特例が外れる場合があります。また、更地にしても買主がすぐ見つかるとは限りません。解体前に建物付き査定と更地査定を取り、解体費用、売却までの期間、固定資産税等の変化を並べて判断します。
家財・遺品の整理が終わっていない
家具、家電、衣類、写真、仏壇、重要書類が残っていると、解体工事の前に仕分けと搬出が必要です。残す物、親族へ渡す物、売却する物、処分する物に分け、業者へ処分を頼む家財は建物解体と別項目で見積もってもらいます。
相続や名義、親族の同意が整理できていない
解体を契約できる人と費用を負担する人が同じとは限りません。登記事項証明書で所有者を確認し、相続が発生している場合は相続人と遺産分割の状況を整理します。共有名義や未登記の相続がある場合は、着工日を決める前に司法書士などへ相談します。
思い出があり、壊す決断ができない
家を残すか壊すかという二択から話し始めると、感情的な負担が大きくなります。写真、柱、建具、庭木など残したいものを先に決め、建物を記録してから、維持に必要な費用と安全性を家族で確認します。
遠方で現地確認や業者対応が難しい
空き家が遠方にある場合は、鍵の受け渡し、現地調査の立ち会い、近隣挨拶、工事中の写真報告、完了確認を誰が担うか決めます。オンラインでの説明や写真・動画による報告に対応できる業者か、見積もり前に確認してください。
【アンケート調査】空き家に関わる101人に解体の検討状況を調査
KAI-TECH(カイテック)は、自身・家族・親族が所有する一戸建て空き家に関わっている101人を対象に、解体の検討状況を調査しました。解体を迷っている人には、費用面・費用以外の理由と、判断しやすくなる条件も聞いています。
空き家の解体を迷っている人は23.8%
アンケートでは「その空き家について、解体を検討していますか? 現時点の状況に最も近いものを選んでください。」と質問しました。
「現在は解体を検討していない」が29.7%(30件)で最も多く、「解体を迷っている」と「自分では判断できない・わからない」がそれぞれ23.8%(各24件)で続きました。

| 回答 | 件数 | 割合 |
|---|---|---|
| 解体を迷っている | 24件 | 23.8% |
| 解体する方針を決めており、見積り・業者探し・家族との調整など具体的に動いている | 14件 | 13.9% |
| 現在は解体を検討していない | 30件 | 29.7% |
| 解体するつもりはない | 9件 | 8.9% |
| 自分では判断できない・わからない | 24件 | 23.8% |
解体を迷っている人23.8%と、解体する方針を決めて具体的に動いている人13.9%を合わせると37.6%でした。以降の理由に関する設問は、「解体を迷っている」と回答し、後続設問へ有効回答した23人を集計します。
費用面では「解体費用の総額・支払いへの不安」が60.9%
アンケートでは「費用・お金の面で、解体を迷っている理由として当てはまるものをすべて選んでください。(複数回答可)」と質問しました。
Q3で「解体を迷っている」と回答し、後続設問へ有効回答した23人を集計。複数回答のため、割合の合計は100%になりません。
「解体費用の総額が高く、自己資金や支払い方法に不安がある」が60.9%(14件)で最も多く、「家財・遺品の処分にも費用がかかる」47.8%(11件)で続きました。

| 回答 | 件数 | 割合 |
|---|---|---|
| 解体費用の総額が高く、自己資金や支払い方法に不安がある | 14件 | 60.9% |
| 建物の構造・延床面積に応じた一般的な解体費用相場がわからない | 5件 | 21.7% |
| 業者から提示される見積り金額が適正か判断できるか不安がある | 9件 | 39.1% |
| 契約後や工事中に追加費用が発生しないか不安がある | 7件 | 30.4% |
| 家の中の荷物・家財・遺品の処分にも費用がかかる | 11件 | 47.8% |
| 解体後に土地の固定資産税が上がる可能性が気になる | 5件 | 21.7% |
| 解体しても土地が売れるかわからない | 7件 | 30.4% |
| 解体費用を土地の売却代金で回収できるかわからない | 2件 | 8.7% |
| 利用できる補助金があるか、いくら受け取れるかわからない | 2件 | 8.7% |
| その他 | 0件 | 0.0% |
| 費用面では特に迷っていない | 0件 | 0.0% |
建物本体の解体費用だけでなく、家財処分まで含めた総支出が判断を難しくしていることが分かります。
費用以外では「家財・遺品整理が終わっていない」が65.2%
アンケートでは「費用以外で、解体を迷っている理由として当てはまるものをすべて選んでください。(複数回答可)」と質問しました。
Q3で「解体を迷っている」と回答し、後続設問へ有効回答した23人を集計。複数回答のため、割合の合計は100%になりません。
「家の中の荷物・家財・遺品の整理が終わっていない」が65.2%(15件)で最も多く、「建物付きで売却できる可能性を先に確認したい」が47.8%(11件)で続きました。

| 回答 | 件数 | 割合 |
|---|---|---|
| 建物付きで売却できる可能性を先に確認したい | 11件 | 47.8% |
| 家の中の荷物・家財・遺品の整理が終わっていない | 15件 | 65.2% |
| 家族・親族の同意が得られていない | 5件 | 21.7% |
| 相続手続きや所有名義の整理が終わっていない | 1件 | 4.3% |
| 家や土地に思い出があり、壊すことに抵抗がある | 7件 | 30.4% |
| 解体後の土地の売却先や使い道が決まっていない | 5件 | 21.7% |
| 売却・活用・保有・解体のどれを選ぶか、全体の方針が決まっていない | 2件 | 8.7% |
| 空き家が遠方にあり、現地確認や手続きに動きにくい | 1件 | 4.3% |
| 信頼できる解体業者の探し方や選び方がわからない | 6件 | 26.1% |
| 工事前の近隣説明や、騒音・振動などのトラブルが不安 | 2件 | 8.7% |
| 現時点では建物を管理できており、急いで解体する必要性を感じていない | 2件 | 8.7% |
| その他 | 0件 | 0.0% |
| 費用以外では特に迷っていない | 0件 | 0.0% |
家財整理を終えないと解体へ進めない人が多く、同時に、解体前に建物付きで売れるか確かめたいという判断も表れています。
判断しやすくなる条件は「総額と内訳が明確」が65.2%
アンケートでは「どのような条件が整えば、解体するかどうかを判断しやすくなると思いますか?(複数回答可)」と質問しました。
Q3で「解体を迷っている」と回答し、後続設問へ有効回答した23人を集計。複数回答のため、割合の合計は100%になりません。
「解体工事の総額と内訳が明確になる」が65.2%(15件)で最も多く、「家財・遺品の整理が終わる」が60.9%(14件)で続きました。

| 回答 | 件数 | 割合 |
|---|---|---|
| 解体工事の総額と内訳が明確になる | 15件 | 65.2% |
| 複数社の見積りを比較し、金額と工事内容に納得できる | 9件 | 39.1% |
| 解体費用を支払うための資金や支払い方法を確保できる | 8件 | 34.8% |
| 利用できる補助金と受給額がわかる | 9件 | 39.1% |
| 建物付きでは売却が難しいと査定などで確認できる | 4件 | 17.4% |
| 解体後の土地の売却先または使い道が決まる | 5件 | 21.7% |
| 家の中の荷物・家財・遺品の整理が終わる | 14件 | 60.9% |
| 家族・親族の同意が得られる | 6件 | 26.1% |
| 相続手続きや所有名義の整理が終わる | 2件 | 8.7% |
| 信頼できる解体業者が見つかる | 9件 | 39.1% |
| 自治体や専門家へ相談し、必要な手続きがわかる | 3件 | 13.0% |
| その他 | 0件 | 0.0% |
| 条件が整っても、当面は解体を決めないと思う | 0件 | 0.0% |
解体判断を進めるには、見積りの透明性と家財整理の両方が必要だと考える人が多い結果です。
次に行いたいことは「家財・遺品を整理する」が34.8%で最多
アンケートでは「解体するかどうかを判断するために、次に行う予定または行いたいこととして最も近いものを選んでください。」と質問しました。
Q3で「解体を迷っている」と回答し、後続設問へ有効回答した23人を集計。
「家の中の荷物・家財・遺品を整理する」が34.8%(8件)で最も多く、「解体工事の見積りを取る」が26.1%(6件)で続きました。

| 回答 | 件数 | 割合 |
|---|---|---|
| 建物付きの状態で不動産査定を受ける | 4件 | 17.4% |
| 解体工事の見積りを取る | 6件 | 26.1% |
| 複数社の解体見積りを比較する | 3件 | 13.0% |
| 自治体へ補助金や空き家制度を相談する | 0件 | 0.0% |
| 家族・親族で今後の方針を話し合う | 2件 | 8.7% |
| 相続手続きや所有名義を確認する | 0件 | 0.0% |
| 家の中の荷物・家財・遺品を整理する | 8件 | 34.8% |
| 解体後の土地の売却先や使い道を検討する | 0件 | 0.0% |
| その他 | 0件 | 0.0% |
| まだ決めていない | 0件 | 0.0% |
最初の行動として、見積り取得より家財整理を選ぶ人が多く、片付けが解体検討の入口になっています。
費用が理由で迷う場合に確認すること
費用が理由で判断できない場合は、金額だけを探すのではなく、自分の空き家で必要になる工事範囲、利用できる制度、解体後の支出と売却見込みを順に確認します。
解体見積もりを2〜3社から取る
建物の構造と面積だけでなく、前面道路、重機の搬入、残置物、外構、アスベスト、整地範囲を現地で確認してもらいます。見積書では税込総額と含まれる工事をそろえて比較します。
自治体の補助制度は契約前に確認する
空き家の除却補助は、自治体ごとに対象建物、所得要件、危険度判定、申請時期が異なります。着工後は対象外になる制度もあるため、契約前に建物所在地の自治体へ確認します。
解体後の税負担と売却見込みを確認する
住宅を解体すると、土地に適用されていた住宅用地の特例が外れる場合があります。一方、管理不全空家や特定空家として勧告を受けた土地も特例を受けられなくなる場合があります。税額は土地や自治体で異なるため、解体時期を決める前に自治体の税務担当へ確認してください。
国土交通省「空家法とは」では、管理不全空家・特定空家と住宅用地特例の関係が案内されています。
費用以外で迷う場合の進め方
費用以外の問題は、解体業者へ見積もりを依頼しても解決しないものがあります。迷っている理由ごとに、最初に確認する相手と資料を切り分けてください。
| 迷う理由 | 最初にすること |
|---|---|
| 家財・遺品 | 残す・譲る・売る・処分するに分類し、処分量を見積もる |
| 親族の同意 | 所有者・相続人と、売却・管理・解体の候補を共有する |
| 相続・名義 | 登記事項証明書を確認し、司法書士などへ相談する |
| 建物付き売却 | 不動産会社に現況のまま査定を依頼する |
| 遠方 | 鍵、立ち会い、写真報告、残置物対応を代行できる相談先を探す |
| 思い出 | 写真・図面・建具など残したい物を先に決める |
家財整理は、処分より先に残す物を確定する
処分業者を呼ぶ前に、権利証、通帳、印鑑、写真、貴金属、仏壇などを家族で確認します。残す物が決まれば、残りの物量を基に自治体回収、買取、専門業者への依頼を分けられます。
名義と親族の同意は、契約できる状態か確認する
所有者と相続人を確認し、売却・管理・解体の候補と費用負担を共有します。口頭で合意したつもりでも認識が違うことがあるため、決定事項と保留事項を記録に残します。
建物付き売却の可能性は、解体前に査定で確かめる
古い建物でも立地や買主の用途によって需要がある場合があります。建物付き査定を取らずに解体すると、その選択肢には戻れません。安全上の緊急性がなければ、現況査定と更地査定を比較します。
建物付き売却と更地売却を比較する
建物付き売却と更地売却は、査定額だけでは比較できません。所有者が先に支払う費用、売却までの時間、売れなかった期間の管理費まで含めて想定手取りを計算します。
建物付き売却は、解体費用を先に負担しない可能性がある
現況のまま買主が見つかれば、所有者が解体費用を立て替えずに売却できる場合があります。ただし、契約条件として売主負担の解体を求められることもあるため、査定時に引き渡し条件を確認します。
更地売却は、解体費用を差し引いた手取りで判断する
老朽化や危険性が高く建物需要が乏しい場合は、更地の方が売りやすくなる可能性があります。更地査定額から解体費用、家財処分費、測量・登記などの費用を差し引き、建物付き売却の想定手取りと比較してください。
空き家解体を判断する7つの手順
空き家の解体判断は、次の順番で事実を確認すると、後戻りや見落としを減らせます。家族だけで判断できない項目は、早い段階で専門家へ相談します。
- 土地と建物の名義を確認する
- 家財・遺品の量を確認する
- 建物の劣化と安全性を確認する
- 建物付きの査定を取る
- 解体見積もりを取る
- 更地の査定と税負担を確認する
- 親族で期限と担当者を決める
査定と見積もりを集めたら、金額だけでなく、いつまで管理を続けられるか、誰が現地対応するかも決めます。判断期限と担当者が決まっていないと、資料を集めても空き家の状態だけが悪化するおそれがあります。
空き家を解体するか迷う場合は、解体する・しないを先に決めるのではなく、費用、片付け、名義、売却可能性を同じ表に並べてください。判断材料が不足している箇所から確認すると、次の行動が見えやすくなります。
